損益分岐点とは、損失と利益の間、つまり損失もなければ利益もない点のことを言います。
最低でもいくら収入があれば赤字にならないか、また、現在の経営状態を把握することができます。
<操作手順>
1.「集計分析」→「分析」→「損益分岐点」をクリックします。
※「損益分岐点」メニューがない場合は、「利用設定」→「ダイレクトメニュー設定」を開きます。
「分析」タブの「損益分岐点」にチェックを付け、[設定]ボタンをクリックすると表示されます。
2.右上にある[グラフ1]~[グラフ3]ボタンをクリックすると、グラフが作成できます。
グラフの見方は3.~4.をご覧ください。
3.損益分岐点とは
(1)基本のグラフの見方
「売上高線」と「費用線」のぶつかる地点(利益も損失も出ない点)を「損益分岐点」といいます。
この「損益分岐点」と「現在の売上高」の差を見ることで、現在の経営状態を知ることができます。
「現時点の売上高」が「損益分岐点」よりも左にあるときは赤字状態、右にあるときは黒字状態ということになります。
(2)固定費と変動費
a.固定費・・・売上金額の大小にかかわらず、毎月必ず、ほぼ一定額発生する費用です。
例:給料手当、減価償却費、研修費など。
b.変動費・・・売上金額が増加に比例して多くなる費用です。
例:荷造運賃手数料など。
c.固定費的変動費・・・グラフの種類によって、「固定費」と見るか「変動費」と見るかを切り替えることができる設定です。
例:肥料費、農薬費など。
本来は作付面積に対して変動する「変動費」ですが、農産物の販売価格の上下に比例して価格変動するわけではないため、固定費的な性格を持ちます。
このような場合に「固定費的変動費」を使用します。
d.設定の切り替え方法
「初期」→「基本」→「勘定科目設定」にて、「経費」の分類を表示します。
科目を選択して[詳細]ボタンをクリックすると、現在の設定の確認や、切り替えができます。
4.「グラフ1」「グラフ2」「グラフ3」について
(1)グラフ1:通常
「固定費的変動費」を「変動費」としてみた場合の値です。
(2)グラフ2:警告
「固定費的変動費」を「固定費」としてみた場合の値です。
よりシビアに経営の状態を見ることができます。
(3)グラフ3:シミュレーション
下図の赤枠の値を自由に変更することで、損益分岐点のシミュレーションができます。
5.[設定]ボタンについて
個人事業データのみ、[設定]ボタンから、より詳しい設定を行うことができます。
※法人データの場合は[設定]ボタンは押せません。
(ア)専従者給与を所得と見なす
専従者給与は、事業主の家族に支給される給与であり、いわば「事業主の家庭に入るお金」です。
「経営者」視点で、専従者給与を「経費」とみなす場合はOFFにします。
「経営者の家庭」を1個の事業ととらえ、専従者給与も収入であるとみなす場合はONにします。
「専従者給与」は、帳簿で「専従者給与」科目を使用した仕訳から集計します。
(イ)事業主報酬を費用と見なす
個人事業では、「事業主に給料を払う」という発想はなく、経費になるものではありません。
しかしこれを会社と同様に「事業主に支払う給与」としてとらえ、「経費」とみなす場合はONにします。
「事業主報酬」は「初期」→「基本」→「部門設定」の「新規」または「修正」画面から入力することができます。
6.数値について
画面上に表示されている数値は、下記の集計、計算によって算出されています。
(ア)売上高・・・合計残高試算表の「売上高計」
(イ)総費用・・・合計残高試算表の「生産原価計」+「販管費計」+「営業外費用計」+「繰入額等計」
(ウ)変動費・・・「グラフ1:通常」では「変動費」+「固定費的変動費」、「グラフ2:警告」では「変動費」
(エ)限界利益・・・売上高-変動費(ウ)
(オ)固定費・・・「グラフ1:通常」では「固定費」、「グラフ2:警告」では「固定費」+「固定費的変動費」
(カ)利益・・・売上高-総費用(イ)
(キ)損益分岐点・・・固定費÷限界利益率(※限界利益率=限界利益(エ)÷売上高(ア))
(ク)変動費比率・・・変動費÷売上高(ア)×100 または 100-限界利益率
(ケ)安全余裕率・・・100-損益分岐点比率(※損益分岐点比率=損益分岐点(キ)÷売上高(ア)×100
または (売上高(ア)-損益分岐点(キ))÷売上高(ア)×100)